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地球環境問題の解決に貢献 今年の受賞者はエリック・ランバン、ジャレド・ダイアモンド両教授 旭硝子財団主催・ブループラネット賞

 地球環境問題の解決に貢献した人や組織に贈られる「ブループラネット賞」=旭硝子財団(石村和彦理事長)=主催の今年の受賞者に、ベルギーのルーヴァン・カトリック大教授のエリック・ランバン氏、米カリフォルニア大ロサンゼルス校教授で作家のジャレド・ダイアモンド氏の2人が選ばれた。表彰式は12月11日に東京都内で開催される。

2019年(第28回)ブループラネット賞受賞者のエリック・ランバン教授(左)とジャレド・ダイアモンド教授
2019年(第28回)ブループラネット賞受賞者のエリック・ランバン教授(左)とジャレド・ダイアモンド教授
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 ブループラネット賞は、世界規模での最重要課題のひとつである地球環境の悪化に危機感を抱き、その修復に力を入れる旭硝子財団が、1992年の国連環境開発会議(地球サミット)の開催を機に創設した。地球環境問題の解決に著しい貢献をした個人や組織に対して、その業績をたたえるもの。賞の名称は、世界初の有人宇宙飛行を達成したロシアの宇宙飛行士、ガガーリンの言葉、「地球は青かった」にちなんで名付けられた。「この青い地球が未来にわたり、人類の共有財産として存在し続けるように」との願いが込められている。

 28回目となる今年度は国内500人、海外788人のノミネーターから33カ国150件の受賞候補者が推薦された。候補者の分野は、生態系29件、環境経済・政策が26件、気候・地球科学が20件などだった。

 今回受賞したランバン氏は、人工衛星からの画像を利用して地表の状態を調べるリモートセンシング技術と独自の時系列解析手法で、土地利用の変化が地球の自然システムへ悪影響を及ぼしていることを指摘した。

 例えば、流行疫学者たちと共同で、土地利用変化と蚊などの媒介生物による病気の蔓延(まんえん)との関係性の研究などを行った。その中で、森林破壊から森林保護に転換した国において他国からの木材の輸入が増え、森林破壊の移転が起きている実態を指摘。地球規模での持続可能性が不足していることを見いだした。

 こうした研究は、企業や公共機関の森林保護に向けた土地利用の方針に大きな影響を与え、森林認証制度の活用や環境負荷ができるだけ少ないものを選んで購入するグリーン購入・調達の推進へ科学的根拠を提供した。

 ランバン氏は受賞について「この権威ある賞をいただき、非常に光栄だ。世界中の土地利用の変化に対する理解向上、持続可能な土地利用を推進する政策の策定・評価改善に努めるうえで、この受賞は一層の励みになる」と喜びを語った。そのうえで「気候変動の軽減、生物多様性損失の修復、生態系サービスの維持などのため、土地管理を賢明に実践する必要がある」とも訴えた。

 一方、 ダイアモンド氏はその著書、『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』『昨日までの世界』の3部作を通じて、人類文明史における環境問題の意義を独自の視点から解き明かした。

 なかでも『文明崩壊』では、地球環境問題の主要な論点として12項目を列挙。環境問題は人類の歴史の基礎であるとして、国や世代を超えて人々の現代文明への意識に働きかけた。

 ダイアモンド氏は今回の受賞に「ブループラネット賞受賞を告げる電話は私にとって、アウト・オブ・ザ・ブルー(青天の霹靂=へきれき)だった。でも、それは私の60年間続けてきた研究を反映するものだ。私が人生から学んだもの、また自分が他者に伝え、自らの人生に還元しようと試みてきたものの象徴だ」などと喜びを語った。

 ダイアモンド氏はまた、10月に著書『危機と人類』(上下巻)を日本で発売。国家的危機を突破した国家と、崩壊した国家の分水嶺(ぶんすいれい)はどこにあるのかについて、ペリー来航で開国を迫られた日本がどう乗り切ったかなど世界の7カ国の事例を提示している。

 こうした、近い過去の人類史から、われわれが何を学び取って、将来の危機に備えるべきなのかを指摘するとともに、日本、米国など、世界を襲う現代の危機についてその解決法を明快に提案している。

受賞者記念講演会は12月12日東京、14日京都で開催(写真は昨年度の様子)
受賞者記念講演会は12月12日東京、14日京都で開催(写真は昨年度の様子)
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 ランバン、ダイアモンド両氏は12月12日に東京大学で、同月14日に京都大学で、それぞれ記念講演会を行う。記念講演会への参加希望者は旭硝子財団ホームページから(参加無料)。

⇒受賞者の詳細と記念講演会への参加申し込みはこちら

提供:公益財団法人 旭硝子財団

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