PR

ライフ ライフ

【記者ノート】食の国・栃木のPR戦略

 この春から、約13年ぶり2回目の宇都宮支局勤務になった。駆け出しの若造が初めてこの地を踏んだのが17年前。改めて生活してみると、栃木は「食の国」だと実感している。

 コメ、野菜、果物、食肉、乳製品。どれをとっても県内では一級品が手に入る。全国に知られる宇都宮のギョーザに加え、県内各地ではB級グルメに事欠かない。筆者のような飲んべえには日本酒も控えている。

 今年の県内の食にまつわるトピックとしては、皇位継承に伴う重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」の献上米になった「とちぎの星」だろうか。初めて食してみたが、高級・洗練というよりは、普段使いしても飽きの来ない滋味深さがあり、実直な県民性を表しているようにも感じられた。と表現すると少しわざとらしい気もするが。

 足りないとなると、海無し県ゆえの海産物ということになる。しかし、実は恵まれていることをご存じだろうか。筆者の前任地である東京都庁で取材すると、市場を担当する幹部からは、昨年、築地から移った豊洲市場に出入りする水産物を扱う業者にとって「栃木は有数のお得意先になっている」との証言を得た。海無し県ではあるが、高レベルな海の幸が栃木には集まっているようだ。

 ただ、少々残念なのは、東京で生活していても、栃木の「食の国」ぶりがあまり聞こえてこないこと。ギョーザやイチゴが全国で定着して随分たつ。そろそろほかの魅力も伝わればよいのに。

 そこで思い出したのが、十数年前の最初の栃木勤務時代、ある県内自治体で聞いたこんな話だ。ある食品の産地偽装が連日ニュースになっていたとき、その自治体の農業担当職員が少し恥ずかしげに耳打ちしてきた。「偽装に使われていたのが、私たちの自治体産のモノだったんです。それぐらいおいしいということですね」。

 食品・自治体名はここでは伏せる。確かに口にしてみたその自治体産は一級品だった。一方、あれから幾年月、その自治体産が全国で大人気になったという話は聞かない。

 昔から言われるのは、奥ゆかしい県民性からか、栃木の“PR下手”だ。歴史的な皇室行事に使用されたコメのPRイベントを先月東京で行った際、JA全農とちぎ(宇都宮市)は、「とちぎの星」の増産を発表。県産米の知名度アップに努めるとした。来年の干支(えと)は「子(ね)」。策略でほかの動物を出し抜き干支の最初になったとの逸話も残るネズミの年に、どんな画期的なPR戦略が出てくるのか。壁を打ち破る何かを期待したい。(大泉晋之助)

■とちぎの星 県農業試験場で誕生したオリジナル品種で平成26年に市場に登場した。コシヒカリをルーツに持つなすひかりが親で、大粒で暑さに強く品質が安定しているのが特徴。食味ランキングで最高の「特A」を受けるなど全国的な評価が高い。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ