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楽しいカリフォルニアワイン ~未来につなぐワイン造り~

 カリフォルニアワインが多彩な楽しみを生み出している。さわやかなソーヴィニヨン・ブランや食事に合うピノ・ノワール、軽やかなロゼなど、味わいは個性豊か。ブドウ畑が連なる景観美をはじめ、マイクロ・クライメート(微小気象)と呼ばれる変化に富んだ気候や多国籍な料理とのペアリング…と、発見や驚き、楽しみの世界が広がっていく。そして、ワインを1杯から注文できるスタイル“バイザグラス”が定着し、お気に入りの味わいを探す冒険の旅が待っている。「風土」「食」「環境保全」「流行」をテーマに、カリフォルニアワインの魅力を4回にわたって紹介する。

 ※お知らせ:カリフォルニアワイン協会(本部・米サンフランシスコ)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、4月1日から日本全国のレストランなどで開催していた『カリフォルニア・バイザグラス・プロモーション 2020』を中止しました。同協会は、カリフォルニアワインが買えるオンラインショップリストを開設すると同時に、バイザグラス・プロモーション特設サイトでもデリバリー、テイクアウト、ワイン販売を行っている参加店を紹介していますので、是非ご覧ください。

『おうちで楽しむカリフォルニアワイン オンラインワインショップリスト』は、こちら

『カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション 2020』(中止)の詳細は、こちら

【第2回】楽しむ×食:ワインとペアリング

■個性豊かなワインと多国籍な食

 ワイン銘醸地として知られるカリフォルニア州ソノマ郡。ソノマの中でも海からの影響を受けにくく、温暖なアレキサンダー・ヴァレーに、ワイナリーのセゲシオ・ファミリー・ヴィンヤーズがある。

 セゲシオは、イタリア系移民のエドワード・セゲシオさんが1895年に設立。その歴史はソノマのワイン産業の歴史としても語られている。土地に根をはりながら、アルコール製造が禁止された禁酒法時代(1920~33年)もブドウを造り続けてきた。そして、1世紀以上にわたり、カリフォルニアを代表するブドウ品種のジンファンデルを栽培している。現在は、5代目オーナーのポール・セゲシオさんが伝統を引き継いでいる。

ブッラータチーズとルッコラ、アーモンドペーストをあわせたトマトリゾットと『ホームランチ ジンファンデル』のペアリング。セゲシオはイタリアの食とワインの魅力を発信している(セゲシオ・ファミリー・ヴィンヤーズ提供)
ブッラータチーズとルッコラ、アーモンドペーストをあわせたトマトリゾットと『ホームランチ ジンファンデル』のペアリング。セゲシオはイタリアの食とワインの魅力を発信している(セゲシオ・ファミリー・ヴィンヤーズ提供)
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 テイスティングルームには穏やかな光が差し込み、毎週金曜日にはペアリング体験『シェフズ・テーブル』が開催される。「セゲシオ・ファミリーにとって、料理は家族の根源のようなもの」と力を込めるのは、ピーター・ジャニアックさん。ペアリング専属シェフとして腕をふるい、ワインと料理を通して、家族を大切にし、友人・客人をもてなすイタリアの文化や精神を紹介している。

 「イタリア料理とのペアリングのカギは、ワインと料理が補完しあうこと。どちらかが強くなりすぎないように、バランスを大切にする。たとえば、食材のトマトと酸と合わせる。生の場合は酸味の高い白ワインやロゼ。煮詰めたソースには、酸に深みが増す赤ワインがいい」。ピーターさんは、食卓でも取り入れることができそうなペアリングのコツをこう指摘する。

「ペアリング体験を自宅でも楽しんでほしい」と話すピーターさん。中央は、イタリア・ロマーニャ地方のショートパスタ・ガルガネッリ、右は種類豊富な生ハム類
「ペアリング体験を自宅でも楽しんでほしい」と話すピーターさん。中央は、イタリア・ロマーニャ地方のショートパスタ・ガルガネッリ、右は種類豊富な生ハム類
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 ジンファンデルは、果実味の強い黒ブドウで、立ち上るスパイスや香り、しなやかなタンニンと酸が特徴。イタリアのプーリア地方で栽培されているプリミティーヴォと同じDNAをもつ品種で、ペアリングの考え方も似ているという。

 ピーターさんは、「タンニンの多いワインは牛肉などのタンパク質と合わせるとマイルドになる。セゲシオのジンファンデルは、ボロネーゼやグリルしたステーキと引き立てあう」とすすめる。

 ワイナリー、キャノンボール・ワイン・カンパニーの創業者のひとり、ヨアヴ・ギラットさんはイスラエル出身。サンフランシスコのイスラエル料理店『オレンズ・フムス』に案内してもらい、イスラエル料理とワインのペアリングをトライしてみた。

 看板メニューのフムスは、ひよこ豆に練りゴマやニンニク、レモン果汁などを混ぜたペースト 薄いパンや野菜、肉と一緒に食べるイスラエルの定番料理だという。クリーミーな舌触りだが風味はすっきり。シトラスの香りが立つ『キャノンボール ソーヴィニヨンブラン 2018』との相性は抜群だ。

ヨアヴさん(右)と『オレンズ・フムス』のシェフ、マーカス・ベラルドさん。フムスは健康志向の人たちに注目されている
ヨアヴさん(右)と『オレンズ・フムス』のシェフ、マーカス・ベラルドさん。フムスは健康志向の人たちに注目されている
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 一方、シリコンバレー北部の街・パロアルトにあるギリシャ料理店『エヴィア』では、新鮮なハーブやシソのような酸味を持つスマックといった個性的な香辛料が料理に使われ、ワインの香りとスパイス感に合わせた相乗効果を楽しむことができる。『キャノンボール イレブン メルロー 2016』とのペアリングでは、メルロー独特のブラックチェリーの香りが、料理のスパイスと調和し、料理とワイン双方に奥行きを生み出していた。

ハーブやスパイスをたっぷり使った魚料理(右)。魚といえば白ワインと考えがちだが、スパイスが橋渡し役となり、赤ワインとも良い相性だ
ハーブやスパイスをたっぷり使った魚料理(右)。魚といえば白ワインと考えがちだが、スパイスが橋渡し役となり、赤ワインとも良い相性だ
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■料理一皿ごとにワインを変える

 カリフォルニアでは、多国籍な料理が楽しめ、新鮮な食材が手に入る。州の農産品目は400種類以上とされ、野菜や果実、ナッツ類の生産が盛んだという。キャベツの芯のような野菜・コールラビや葉菜類のカラードグリーンなど、日本では珍しい食材も多い。

 カリフォルニアワイン協会が公表している2018年統計によると、ワイナリー数は3900以上。個性的な料理とワインの出あいが、既成のジャンルやルールを飛び越えたペアリングのアイデアを生み出している。さらに、バイザグラスで料理ごとにワインを変えて味わうことができる。

新鮮な食材が並ぶサンフランシスコのフェリープラザ・ファーマーズマーケット(左)。ソノマ・ヒールスバーグの食料品店では買い物の合間にワインをバイザグラスで(中央)。サンフランシスコのラオス料理店でのペアリング。スパイスが効いたソーセージにはソーヴィニヨン・ブランを
新鮮な食材が並ぶサンフランシスコのフェリープラザ・ファーマーズマーケット(左)。ソノマ・ヒールスバーグの食料品店では買い物の合間にワインをバイザグラスで(中央)。サンフランシスコのラオス料理店でのペアリング。スパイスが効いたソーセージにはソーヴィニヨン・ブランを
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 ソノマで人気の日本料理店『ハナ』。和食といえば、日本酒が定番だが、ハナではワインとのペアリングに定評があり、20種類以上のバイザグラスを用意している。「和食と日本酒が合うのは当然。だからこそワインと合ったときの喜びは格別」。そう話すのは、オーナーの富永謙一さん。

 ハナでは、カリフォルニアの注目ワインを取りそろえる。フリーマンは東京都出身のアキコ・フリーマンさんが造るワイン。アキコさんは2001年、夫のケン・フリーマンさんとともに、ソノマでも冷涼なロシアン・リヴァー・ヴァレーにワイナリーを設立した。2015年4月、当時のオバマ大統領が安倍晋三首相を招いて開催したホワイトハウス公式晩さん会で、『フリーマン 涼風 シャルドネ ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2013』が振る舞われ、脚光を浴びた。

「アキコさんのワインは軽やか」と富永さん(左)。アキコさんはケンさんと学生時代に知り合い、洗練されたピノ・ノワール造りを目指してきた。「ワインが人生を豊かにしてくれる」と声をそろえる
「アキコさんのワインは軽やか」と富永さん(左)。アキコさんはケンさんと学生時代に知り合い、洗練されたピノ・ノワール造りを目指してきた。「ワインが人生を豊かにしてくれる」と声をそろえる
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 繊細ながらも切れ味のある味わいで知られるフリーマンのワインとペアリングに挑戦してみた。まずは、さまざまな魚介が一度に楽しめる定番料理『ハッピースプーン』。新鮮なカキにトッピングされたトビコとイクラの食感、ウニの芳醇さが広がる。『涼風 シャルドネ ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2017』の果実味や酸とよく調和する。

 アキコさんの名をつけた『アキコズ・キュヴェ ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2016』は、マグロの漬け丼と一緒に。ピノの華やかな香りとたまり醤油の甘味が引き立てあう。アキコさんのお気に入りの組み合わせだという。

 「おいしいピノ・ノワールは、エレガントで香り高く、スパイスや酸味もある。醸造家のこだわりが最もあらわれる。小皿で料理を楽しむ和食文化のなかで育ち、微妙な味の違いが分かるように鍛えられてきた。そうした味覚がワイン造りにも役立っているのかもしれない」とアキコさん。繊細な感覚が生み出すワインは、日本料理にもよく合うというわけだ。

『ハッピースプーン』(写真左の右奥)と『涼風』のペアリング。日本から仕入れた新鮮な食材をシャルドネのふくよかな味わいが包み込む。マグロの漬け丼とピノ・ノワールという斬新な組み合わせも
『ハッピースプーン』(写真左の右奥)と『涼風』のペアリング。日本から仕入れた新鮮な食材をシャルドネのふくよかな味わいが包み込む。マグロの漬け丼とピノ・ノワールという斬新な組み合わせも
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■「また飲みたい」に出あうバイザグラス

『大根の味噌おでん』に合わせた『ファウンダース・エステート・ピノ・ノワール』(カモシヤ提供)
『大根の味噌おでん』に合わせた『ファウンダース・エステート・ピノ・ノワール』(カモシヤ提供)
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 日本でもバイザグラスの楽しみ方が広がっている。名古屋市の『カモシヤ』では、ワインと味噌おでんの意外な組み合わせが人気だ。味噌おでんは味付けに砂糖を使うが、ワインの苦みを強調してしまうため、店では一切使わない。代わりに赤ワインで煮込むことで、ワインと合うように工夫を凝らしている。

 「具材の水分量も重要。たとえば大根の味噌おでんは水分量が多いので、淡いタイプのピノ・ノワールがおすすめ。逆に水分量の少ない牛スジ煮込みは渋みのあるジンファンデルと」。オーナーの橋本雄生さんは、酸味が柔らかいカリフォルニアワインはいろいろな食材と合わせやすいと話す。

 「バイザグラスは自分の好きな一杯を見つけられるチャンス。さまざまな楽しみ方につながる第一歩」。店と料理を通じて、ワインを気軽に楽しめる空間作りを目指している。

店の定番『リアルとんがりコーン』と『シュラムスバーグ ブラン・ド・ブラン』。イワシの魚醤であえたベビーコーンのうま味とバターの香ばしさを、ワインの酸味がまとめる
店の定番『リアルとんがりコーン』と『シュラムスバーグ ブラン・ド・ブラン』。イワシの魚醤であえたベビーコーンのうま味とバターの香ばしさを、ワインの酸味がまとめる
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 東京・麻布の『ブルー』はカリフォルニアワインのみをそろえる異色のイタリア料理店。常時350種類のワインから、白・赤ともに10種類以上のバイザグラスを用意。カリフォルニアワインを求めて訪れる客のほか、店をきっかけにワインと料理のペアリングを好きになったという声も多く、実際にワインの銘醸地ナパ・ヴァレーに行った人もいるという。

 新潟県出身でオーナーの田原裕樹さんは、地元の食材も多用し、「日本の四季の食材とペアリングさせることで驚きを提供していきたい」と日本ならではの楽しみ方を模索している。

 バイザグラスのメリットについては、「二人以上で来店された場合も、料理とのペアリングでいろいろな種類のワインを楽しんでいただける」と指摘。ワインだけを飲むより、料理と合わせることでさらにワインの味が変わっておいしくなる感覚を知ってもらいたいと、バイザグラスの広がりに期待している。

 札幌市のフレンチレストラン『ラ・ブリック』は、ソムリエがコース料理に合うワインをひと皿ごとに提案している。ワインショップを併設し、食事の後の購買につなげることも狙いのひとつだ。

 「レストランでは、料理とワインで最高の時間を堪能してもらいたい。そして、『また飲みたい、誰かにすすめたい』という気持ちを持ち帰ってほしい」

 オーナーでソムリエの中村雅人さんは、客に合わせてワインの種類や量を変え、食材とワインの背景や物語まで紹介する。食事を終えてから、その日に出あったワインを買って帰る人も多い。

 カリフォルニアワインは420種類を取り揃えている。ショップで購入したワインは、1人700円の持ち込み料で、店の料理に合わせることもできる。「今までフランスワインしか飲まなかったお客さまがカリフォルニアワインを選ぶようになった」と、バイザグラスの効果を実感。ワインショップを併設するレストランならではの柔軟な発想で、ワインをより楽しむための場の提供を続けている。

人気の『白糠町エゾ鹿のロースト』と『フォーチュン 1621 カベルネソーヴィニヨン ナパヴァレー 2016』のペアリング(左)。中村さんは「カリフォルニアワインは、価格に対する満足度が高い」と話す。ショップの壁一面にカリフォルニアワイン。圧巻の品ぞろえだ
人気の『白糠町エゾ鹿のロースト』と『フォーチュン 1621 カベルネソーヴィニヨン ナパヴァレー 2016』のペアリング(左)。中村さんは「カリフォルニアワインは、価格に対する満足度が高い」と話す。ショップの壁一面にカリフォルニアワイン。圧巻の品ぞろえだ
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※米国内取材は今年1月、日本国内は同2~3月時点のものです。

★簡単メモ★

 カリフォルニア州には、大きく6つの生産地域がある。海岸線は1300キロメートルにもなり、海からの冷風や霧が海沿いの畑を冷やすため、沿岸部ではシャルドネやピノ・ノワールといった品種が栽培されている。内陸の畑では、カベルネ・ソーヴィニョンやメルローが完熟する。

 米国政府承認ブドウ栽培地(AVA)のうち、半数以上が州内に集中している。カリフォルニアワイン協会が公表している2018年統計によると、米国内市場で販売されたカリフォルニアワインの数量は、2.48億ケース。米国からのワインの輸出のうち、95%がカリフォルニア産。輸出数量は4170万ケースで、140カ国以上に出荷されている。

【おうちで楽しむカリフォルニアワイン オンラインワインショップリスト】

 世界的に高い評価を得ているカリフォルニアワイン。米国はイタリアやフランス、スペインに続いて世界第4位のワイン生産量を誇り、国内の約8割がカリフォルニア州から産出されている。バイザグラスはワインを1杯から注文でき、米国では気軽にワインを楽しめるスタイルとして定着している。

 今年元日に発効された日米貿易協定によって、米国産ワインの関税は段階的に引き下げられ、2025年には完全撤廃が予定されている。米国から日本に輸入されるワインの95%以上がカリフォルニア産。関税撤廃による小売価格の値下げなども見込まれている。消費者にとっては、多様で高品質なカリフォルニアワインを楽しむ機会が広がるとして注目されている。

 リッチな味わいからエレガントなワインまで、スタイルは実に多彩。自宅で過ごす時間が増える今、ゆっくりとお気に入りの1本を見つけてみませんか。

 カリフォルニアワインを選ぶなら、オンラインワインショップリストへ。

提供:カリフォルニアワイン協会

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