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逃走相次ぐ天王寺動物園 5年前にもアノ動物が…

脱走したケープハイラックス
脱走したケープハイラックス

 大阪市立天王寺動物園では今秋、カリフォルニアアシカの赤ちゃん「キュッキュ」、ワライカワセミの「アキーゴ」と相次いで動物が行方不明になりました。実は、5年前にもアフリカサバンナゾーンからケープハイラックスの子供が“脱走”する事件があったのです。動物との知恵比べを続ける飼育員らの苦労がしのばれます。

 そんな開園から100年以上の歴史を誇る天王寺動物園()で、「動物園マニア」の目線で動物園経営を進めているのが牧慎一郎園長。動物とのふれあい広場の設置や、夜の動物園を楽しめるイベント実施など改革してきた牧さんが産経新聞で掲載してきた動物園日記から選りすぐりをお届けします。

 動物園にいると、いろいろな事件に遭遇します。

 平成26年9月のこと、事務所に連絡が入って職員が現場に急行しました。アフリカサバンナゾーンのケープハイラックスが逃げ出したのです。

 ケープハイラックスは、イワダヌキとも呼ばれる小動物で、野生では中東やアフリカに生息しています。タヌキみたいな風貌ですが、原始的な特徴を残した有(ゆう)蹄(てい)類で、分類学上はゾウやジュゴンに近い仲間だそうです。これがゾウに近いなんて、なかなか信じられませんが、「進化」というのは不思議なものですね。

 当園のケープハイラックスは、サバンナの草食動物ゾーンを見下ろすウッドデッキ近くの小スペースで飼育しているのですが、8月に子供が生まれて可愛い姿を見せていました。脱走したのは、子供のハイラックス。ハイラックス舎の天井の網に穴が開いていて、そこから逃げ出したようです。小さな子供だからこそ、この穴を抜けることができたようです。

 獣舎付近を捜索しましたが、見つかりません。捕獲のための檻を設置しましたが、一晩たっても捕まえることができません。ウッドデッキにかかる屋根の上を走り去る姿が目撃されていたので、近くにいるようですが、どこかに隠れているようです。

 ハイラックスは臆病な生き物ですから、園外に出てしまったりお客さまに危害を加えたりする可能性は低いとみていましたが、ハイラックス舎の隣のライオン舎に誤って落ちてしまったら大変です。早く捕まえないと。

 さてどうしたものかと思案をしていたところ、夕方になって職員がハイラックス舎を見に行くと、行方不明になった子供が戻ってきているじゃないですか。その場で飼育員が入って御用になりました。あーよかった。

 その後、ハイラックス舎の屋根の補修を行い、脱走騒動は収束しました。

 動物園の仕事は、常に動物とのせめぎあいです。こちらに隙があると、動物の能力が上回ってしまいます。日々の管理をしっかりするとともに、何かあったときの訓練もしっかりやっておかないといけません。

 (天王寺動物園長兼改革担当部長 牧慎一郎 平成27年6月掲載。転載にあたり加筆修正しています)

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