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病気→不安→差別→感染拡大…負の連鎖を断ち切ろう 日赤医師らが情報発信

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染者や医療従事者らへの嫌がらせや差別が顕在化している。差別を恐れて症状を隠す人が増えれば、さらなる感染拡大につながりかねないと、日本赤十字社の医師らが新型コロナウイルスをめぐる「負の連鎖」を断ち切るためのガイドを作成した。「不安や恐怖に振り回されると、冷静な対応ができなくなる。自分を客観的に見つめ直し、差別に加担しないで」と訴えている。(篠原那美)

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 70代の女性教授が新型コロナウイルスに感染した郡山女子大学(福島県郡山市)は3月26日、大学関係者らへの嫌がらせが多数あったことを記者会見で明らかにした。同大付属高校の生徒が通学途中に「コロナに感染しているんじゃないのか」「コロナ、コロナ」と声をかけられるなどの例があったという。

 日本災害医学会は2月22日、新型コロナウイルスへの対応に従事した医師や看護師らが職場などで「ばい菌」扱いをされるなどの不当な扱いを受けているとして、抗議する声明を発表している。

 3月上旬にフランスを訪れたという中部地方の40代の女性も、現地で「ジャポネ、コロナ」と、すれ違いざまにせきのまねをされたり、帰国した際も、スーツケースをみたタクシー運転手に立て続けに乗車を拒まれたりしたという。「『感染者』と決めつけられて疑問に思った」と打ち明ける。

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 感染への不安が差別を生み、その差別を恐れて症状を隠す人が増え、結果として感染が拡大する。そんな“負のスパイラル”に危機感を募らせているのが、世界的な医療ネットワークを持つ日本赤十字社だ。

 日赤によると、致死率の高いことで知られるエボラ出血熱が流行したアフリカでは、感染症に対する正しい知識が住民に伝わらず、医療従事者が石を投げられるなどして、医療が継続できなくなったケースもあったという。

 新型コロナウイルスをめぐる差別的な言動は、不安や恐怖から生じる。心のケアに詳しい日赤の医師らは、こうした「負の連鎖」を断ち切るためにはどうすればいいかを説明するガイドを作成。日赤のホームページで公開している。

 執筆に加わった丸山嘉一(よしかず)医師は「不安や恐れは、人間が身を守るために必要な感情」としたうえで、「本来の敵であるウイルスが目に見えないために、人々は感染者やクラスターの起きた地域などを敵とみなしてしまう。本当の敵ではないのに、差別して遠ざけることで、つかの間の安心感を得ようとする」と、差別的な言動が生まれる背景を説明する。

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 こうした差別が広がれば、世の中が不信であふれ、社会の分断が進んでしまう。感染への不安や恐怖に振り回されないようにするには、どうすればいいのか。

 日赤のガイドによると、まずは「自分の心の状態を客観的に見つめ直す」ことが大切という。ウイルスに関する悪い情報ばかりに気をとられず、趣味の時間や親しい人とのつながりを保ち続けることが必要だ。

 そして「差別的な情報に同調することなく、コロナウイルスと闘っているすべての人に、ねぎらいや敬意の気持ちをもってほしい」(丸山医師)と呼びかけている。

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