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容易でない政府目標達成 排出量削減ペース加速、原発新設も

菅義偉首相(春名中撮影)
菅義偉首相(春名中撮影)

 菅義偉首相は22日の気候変動サミットを前に2030年度の温室効果ガス排出量の国別削減目標(NDC)を「13年度比46%削減」にすると表明した。現状の「13年度比で26%削減」からの大幅削減だが、達成までの道のりは決して容易ではない。目標達成には排出量削減ペースをこれまで以上に加速する必要があり、エネルギー政策の大幅な見直しは不可避だ。運転時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原子力発電所の積極活用も含めた、気候変動問題に正面から向き合う施策が必要となる。

 菅首相は22日の新たな削減目標で、削減率を大幅に上積みした形となった。すでに表明している50年の排出量実質ゼロを目指して一定のペースで削減した場合、30年度の水準は45%減程度になるとみられてきただけに、削減の速度の引き上げも視野にいれねばならない。

 従来の26%削減の場合は、排出量をCO2換算で約10億4千万トンまで下げる計算。エネルギー政策に詳しい東大公共政策大学院の本部和彦客員教授によると、46%削減の場合、さらに2億7千万トン以上の追加削減を行う必要がある。

 ただ、目標達成に向けた道筋は現状では不透明だ。

 本部氏は「期待される洋上風力も30年度の導入量は1千万キロワットにとどまる。エネルギー供給サイドだけでは排出量を十分削減できる姿が描けない」と指摘。「仮に目標実現のためにエネルギー需要の大幅削減という禁じ手を使わざるを得なくなれば、国内から製造業が消える姿もあり得る」と厳しい見方を示す。

 このため新たな目標が、今夏にも策定を予定する次期エネルギー基本計画や、50年脱炭素を視野に入れた30年度の再エネや原発などの電源構成の在り方の議論にも大きく影響することは確実だ。太陽光などの再生可能エネルギーの活用の重要性が増すことに加え、原発の稼働率を高めることが欠かせない。

 日本では原発の運転期間が法律で原則40年、最長60年間に限定されており、経産省の試算によれば、すべての原発が再稼働できたとしても、50年時点で最大23基の稼働にとどまる。この状態では、50年時点で必要な電力の約1割強しか賄えない。

 政府は50年脱炭素に向けた具体策「グリーン成長戦略」で原発を最大限活用するとしているが、現時点で新設やリプレース(建て替え)の必要性に言及していない。ただ、中長期的に排出量の大幅削減を目指すのであれば、新設などについても検討する必要がある。

 野心度の高い削減目標を国際公約として掲げた菅政権にとって、将来の原子力政策の方向性を明確に示すことが必須の課題になったといえそうだ。(那須慎一)

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